記録 一
阿樹羅とは
阿樹羅(あじゅら)は、大樹のような体をもつ巨人である。斬っても焼いても死なず、ひとたび吠えれば野が燃えたと伝えられている。
誕生
伝承によれば、約一万年前、ある人間が日緋色に光る金属「ヒヒイロカネ」に触れ、「死にたくない」と強く願った。金属はその願いに応え、人間の体を太古の恐竜の遺伝子と融合させた。こうして生まれたのが阿樹羅だという。
姿
| 大きさ | 全長13メートルから、20メートルを超えるものまで |
|---|---|
| 数 | 一体ではなく、多数いたとされる |
| 型 | それぞれが違う恐竜を模した姿をしている。角と盾のような襟飾りをもつもの(ケラトプス型)、二本足で立ち長い尾をもつもの(獣脚類型)、海を泳ぐ竜の姿のもの(海竜型)が記録に残る |
| 変身 | 人の姿に自由に戻ることができる。姿を変えるとき、体は四方へ微粒子となって散り、急速に縮んで形を成すという |
名の由来
一説によれば、「阿樹羅」の名は、樹木のように巨大な体をした人間が、門番のように二体一対で立っていた様を称したものだという。
不死と、阿樹羅同士の戦い
阿樹羅は不老不死の力をもつ。ただし、阿樹羅同士が戦えば、どちらかが必ず滅ぶ。戦いの末にすべて死に絶えたと考えられているが、この世のどこかに生き残りが潜んでいるともいわれる。死ねない体のまま、人の姿で私たちと同じ日常を過ごしているのか。どこかに封じられているのか。それは誰にもわからない。
恐れから信仰へ
阿樹羅の一体は、かつて一つの都を一夜で滅ぼしたと縁起は伝える。生き残った人々は阿樹羅を恐れ、やがて神として崇めるようになった。これが「阿樹羅信仰」である。人の形をした像も、この信仰の中で作られたとされる。
信仰が実際に何を行っていたのかについては、記録の多くが失われている。
復活の予言
阿樹羅がふたたび目覚めるとしたら、それは「文明が滅びる時」だと伝えられている。
土偶との関わり
一説には、縄文時代の土偶のモデルは阿樹羅だったともいわれる。あわら市の桑野遺跡からは、日本最古級とされる縄文時代の耳飾りが出土している。また、福井県は国内の恐竜化石の多くが見つかる土地でもある。